大阪市教育委員会議での道徳教科書採択の傍聴報告
8月9日、大阪市教育委員会議が行われ、小学校道徳教科書の採択が行われました。すでに速報で流れているとおり、日本文教出版をを採択し、育鵬社の代案教科書として批判してきた教育出版は不採択となりました。
採択の教育委員会議の様子です。
(1)当初、会議の傍聴人数は50名でした。市教委事務局は、希望者が50名を超えると、いすを増やし74名まで入れる準備をしました。更に増えた場合は、立ち見OKの確認も取りました。これは、2年前の中学校採択において誰一人直接傍聴を認めなかったことに対して、市民や市議会で厳しい批判にさらされたことによる改善でした。
(2)会議の冒頭、教育長は、2年前の中学校採択を巡る問題に対して外部監察チームの報告書がまとめられたことや、採択制度の改善を求める陳情書が大阪市議会で可決したことを指摘し、採択制度について「運用の改善」を行ってきたと発言しました。私たちのこの間の取り組みによって改善されたことを教育長自らが表明することから開始された会議でした。
改善内容として教育長は、以下の4点をあげました。
①オープンな場で議論してきたこと。
②教育委員からも利害関係者でないことを示す誓約書を取ったこと。
③選定委員会の答申の様式として、各社の「総評」を記した上で「特に優れている点」と「特に配慮を要する点」を記述すること。
④教育委員会議は可能な限り全員傍聴を保障すること。
(3)2015年中学校採択との決定的な違いは、選定委員会「答申」の様式でした。「答申」には、新たに「総評」欄が設けられ、日文、東書、あかつきの順で評価が高いことを示していました。また、「特に優れている点」と「特に工夫・配慮を要する点」の両方を記述し、各社の長所と短所が読み取れるようになっていました。全体的な印象では、教育出版が4番手に上がっていました。2年前の「答申」は、全社の特徴だけを記入する横並びの記述となっていたのと比べると大きな前進でした。
*今年の選定委員会「答申」全文(大阪市教委HP 第107号議案)
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000408253.html
(4)教育委員は、①文章が苦手な大阪市の子どもにとって学びやすい、②教科書を使う若手教員が教えやすい、の2点の観点を強調して議論が始まりました。教育委員は、「答申」の「総評」で評価の高かった3社を中心に議論を進め、「答申」を尊重した採択が行われました。
森末委員
光村、日文、あかつきを評価。バランスの取れている日文を推薦。
別冊ノートの教育効果を強調していました。
帯野委員
日文、あかつきを評価。日文を推薦。
日文については、登場人物にバラエティを持たせてほしいと注文。外国人の登場人物について欧米人が多くアジア人が少ない。子どもたちの今後を考えるとアジアの人との関係が重要とも指摘していました。
林委員
学研、日文、あかつきを評価。
教員が使いやすい、ユニバーサルデザインを配慮している等の理由で日文がバランスが良いとして推薦。
巽委員
日文、あかつきを評価。 2社とも別冊ノートがあることを評価し、特に日文は友だちの意見や考えを書く欄があることを評価しいていました。
また、オリンピック・パラリンピックに関する記述でも2社を比較し、日文は、ワクワク感のある問いかけがあること、パラリンピックも取り上げ多様で幅広い記述になっているを評価していました。最終的には日文を推薦。
平井委員
子どもたちの安心・安全、いじめ問題などを重視し、東書、日文、あかつきを評価。その中でも教員が使いやすいということで日文を推薦。
また、現場教員の代表として校長が採択会議に呼ばれており、林委員が主題・狙いをはっきり書いた教科書とそうでない教科書があるが、大阪市の子どもにとってはどちらがよいのかと尋ね、校長が一目でねらいがわかるものがよいと答える一幕もありました。他市では現場代表が採択会議で意見を述べる場面などないので、もともと大阪市は民主的な採択をやっていたのだとつくづく思いました。
最終的には、山本教育長が全員一致で日文を採択するとまとめました。山本教育長は、司会に徹しており、自分の意見を述べる機会は最後までありませんでした。
8月9日の大阪市教育委員会議を傍聴して感じたことは、大阪市での育鵬社採択以降、教科書アンケート疑惑の追及を徹底して行ってきたことが、はっきりと教科書採択制度の運用の改善という形として表れ、そのことが教育出版不採択の大きな力になっていたということです。大森教育委員長、高尾委員を辞任に追い込み、新たな公募委員候補を議会が否認したことをふくめ、この2年間の取り組みがようやく実を結んだことを実感しました。
採択の教育委員会議の様子です。
(1)当初、会議の傍聴人数は50名でした。市教委事務局は、希望者が50名を超えると、いすを増やし74名まで入れる準備をしました。更に増えた場合は、立ち見OKの確認も取りました。これは、2年前の中学校採択において誰一人直接傍聴を認めなかったことに対して、市民や市議会で厳しい批判にさらされたことによる改善でした。
(2)会議の冒頭、教育長は、2年前の中学校採択を巡る問題に対して外部監察チームの報告書がまとめられたことや、採択制度の改善を求める陳情書が大阪市議会で可決したことを指摘し、採択制度について「運用の改善」を行ってきたと発言しました。私たちのこの間の取り組みによって改善されたことを教育長自らが表明することから開始された会議でした。
改善内容として教育長は、以下の4点をあげました。
①オープンな場で議論してきたこと。
②教育委員からも利害関係者でないことを示す誓約書を取ったこと。
③選定委員会の答申の様式として、各社の「総評」を記した上で「特に優れている点」と「特に配慮を要する点」を記述すること。
④教育委員会議は可能な限り全員傍聴を保障すること。
(3)2015年中学校採択との決定的な違いは、選定委員会「答申」の様式でした。「答申」には、新たに「総評」欄が設けられ、日文、東書、あかつきの順で評価が高いことを示していました。また、「特に優れている点」と「特に工夫・配慮を要する点」の両方を記述し、各社の長所と短所が読み取れるようになっていました。全体的な印象では、教育出版が4番手に上がっていました。2年前の「答申」は、全社の特徴だけを記入する横並びの記述となっていたのと比べると大きな前進でした。
*今年の選定委員会「答申」全文(大阪市教委HP 第107号議案)
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000408253.html
(4)教育委員は、①文章が苦手な大阪市の子どもにとって学びやすい、②教科書を使う若手教員が教えやすい、の2点の観点を強調して議論が始まりました。教育委員は、「答申」の「総評」で評価の高かった3社を中心に議論を進め、「答申」を尊重した採択が行われました。
森末委員
光村、日文、あかつきを評価。バランスの取れている日文を推薦。
別冊ノートの教育効果を強調していました。
帯野委員
日文、あかつきを評価。日文を推薦。
日文については、登場人物にバラエティを持たせてほしいと注文。外国人の登場人物について欧米人が多くアジア人が少ない。子どもたちの今後を考えるとアジアの人との関係が重要とも指摘していました。
林委員
学研、日文、あかつきを評価。
教員が使いやすい、ユニバーサルデザインを配慮している等の理由で日文がバランスが良いとして推薦。
巽委員
日文、あかつきを評価。 2社とも別冊ノートがあることを評価し、特に日文は友だちの意見や考えを書く欄があることを評価しいていました。
また、オリンピック・パラリンピックに関する記述でも2社を比較し、日文は、ワクワク感のある問いかけがあること、パラリンピックも取り上げ多様で幅広い記述になっているを評価していました。最終的には日文を推薦。
平井委員
子どもたちの安心・安全、いじめ問題などを重視し、東書、日文、あかつきを評価。その中でも教員が使いやすいということで日文を推薦。
また、現場教員の代表として校長が採択会議に呼ばれており、林委員が主題・狙いをはっきり書いた教科書とそうでない教科書があるが、大阪市の子どもにとってはどちらがよいのかと尋ね、校長が一目でねらいがわかるものがよいと答える一幕もありました。他市では現場代表が採択会議で意見を述べる場面などないので、もともと大阪市は民主的な採択をやっていたのだとつくづく思いました。
最終的には、山本教育長が全員一致で日文を採択するとまとめました。山本教育長は、司会に徹しており、自分の意見を述べる機会は最後までありませんでした。
8月9日の大阪市教育委員会議を傍聴して感じたことは、大阪市での育鵬社採択以降、教科書アンケート疑惑の追及を徹底して行ってきたことが、はっきりと教科書採択制度の運用の改善という形として表れ、そのことが教育出版不採択の大きな力になっていたということです。大森教育委員長、高尾委員を辞任に追い込み、新たな公募委員候補を議会が否認したことをふくめ、この2年間の取り組みがようやく実を結んだことを実感しました。