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沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会の声明

教科用図書八重山採択地区協議会の「公民教科書に育鵬社を選択」との答申に抗議し、八重山地区各教育委員会に対して、公正、適正な教科書を採択することを求める声明

8月23日、教科用図書八重山採択地区協議会は、2012年度から同地区内公立中学校で使用する社会科公民分野の教科書について、育鵬社の公民教科書を選択したと報道されました。選定の詳細は答申の公開後に明らかにされるにしても、私たち平和教育をすすめる会としては、現時点においてこの選定そのものが不当であると考え、まず厳重に抗議します。
社会科の公民分野は、未来の主権者を育てる義務教育最終段階の重要な科目として、憲法や政治、経済、社会のしくみを学びます。その中で公民教科書は、主権者育成の重要な教材であり、一方的な考えや政治思想を注入するようなものであってはならないものです。しかし、これまで多くの団体・個人が指摘し、マスコミ等が報じてきたように、育鵬社の教科書は数多くの重大な問題点が指摘されています。
戦後の沖縄で米軍基地から発生する被害や事件事故が多発している実態や普天間基地の問題、基地の整理縮小について全く触れていないことは、沖縄に住む子どもたちが学ぶには不適切で看過できない欠陥です。それだけでなく人権について「いきすぎた平等意識はかえって社会を混乱させ」と平等権を制限するような記述や、「憲法は個人の尊厳と両性の本質的平等に基づいて家庭生活を営むことを求めています(24条)」との記述については、研究者から「憲法24条は『家庭生活における個人の尊厳と両性の平等』をうたっているものであり、家庭生活を営むことを求めているわけではない」と指摘されているとおり,憲法24条を「家(家父長)制度」を是とするような誤った記述に書き換える等,重大な問題点があると指摘せざるを得ません。育鵬社の公民科教科書は、社会科教育がめざす「国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者」を育成することのできない教科書であることは明らかです。
採択地区協議会では、現場教員による調査員の複数推薦に含まれてさえいなかった育鵬社を選定しました。これは、現場の教員が時間をかけ、子どもたちのことを第一に考えて授業での使い方や子どもたちの理解しやすさなどを踏まえて作成した調査研究を全く踏まえない結果を出したことを意味します。数多くの指摘がある通り、教科書は子どもに渡す大事な教材です。そしてその教材を利用して日々子どもと向き合うのは教師です。教科書は、教師と子どもとを授業を通じてつなぐ大事なツールです。その大事なツールを教師の意見を踏まえることなく決定するということは、子どものことを第一に考えた選択とは到底思えません。このことは、政府、文部科学省の指導にも反しています。
この選定が行われたことは、やはり育鵬社の教科書採択ありきで協議会が開催され、投票行動がなされたという疑義をもたざるを得ません。全国で育鵬社が採択された他の地域でも、調査委員等の推薦から漏れたものを採択した例はありません。このように教科書採択の公正性が守られないと疑われるような選定はやはり不当です。改めて、厳重に抗議します。
 よって、当会は石垣市教育委員会及び竹富町教育委員会及び与那国町教育委員会に対し、公正な検討を行い、育鵬社の公民科教科書を採択しないよう強く要請するものです。
                              2011年8月24日
沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会

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