八重山地区の育鵬社公民「選定」についての沖教組声明

2011年8月24日
                              沖教組発67号

 石垣市教育委員会
 教育長 玉津 博克 様
                          沖縄県教職員組合
                          中央執行委員長 山本隆司

教科用図書八重山採択地区協議会の「公民教科書に育鵬社を選択」との答申に強く抗議し、公正、適正な教科書を採択することを求める要請

8月23日、教科用図書八重山採択地区協議会は、2012年度から同地区内公立中学校で使用する社会科公民分野の教科書について、育鵬社の公民教科書を選択したと報道されました。
社会科の公民分野は、未来の主権者を育てる義務教育最終段階の重要な科目として、憲法や政治、経済、社会のしくみを学びます。その中で公民教科書は、主権者育成の重要な教材であり、一方的な考えや政治思想を注入するようなものであってはならないものです。しかし、これまで多くの団体・個人、マスコミ等が報じてきたように、育鵬社の教科書は数多くの重大な問題点が指摘されています。
戦後の沖縄で米軍基地から発生する被害や事件事故が多発している実態や普天間基地の問題、基地の整理縮小について全く触れていないことは、沖縄に住む子どもたちが学ぶには不適切で看過できない欠陥です。それだけでなく人権について「いきすぎた平等意識はかえって社会を混乱させ」と平等権を制限するような記述や、「男女の性差を認めた上で、それぞれの役割を尊重しようとする態度も大切」などと、憲法24条を否定する「家父長制度」を是とするような記述が強調されているなどの問題点も指摘されてきました。育鵬社の公民科教科書は、社会科教育がめざす「国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者」を育成することのできない教科書であることは明らかです。
同採択地区協議会では、現場教員による調査員の複数推薦に含まれてさえいなかった育鵬社を選定しました。これは、現場の教員が時間をかけ、子どもたちのことを第一に考えて授業での使い方や子どもたちの理解しやすさなどを踏まえて作成した調査研究を全く踏まえない結果を出したことを意味します。このことは教育現場の意見を最大限反映させるとする政府、文部科学省の指導にも反しています。
この選定が行われたことは、やはり育鵬社の教科書採択ありきで協議会が開催され、投票行動がなされたという疑義をもたざるを得ません。全国で育鵬社が採択された他の地域でも、調査委員等の推薦から漏れたものを採択した例はありません。このように教科書採択の公正性が守られないと疑われるような選定はやはり不当だと考えます。
 教科書調査員や教育現場の声を無視した公民教科書の育鵬社選択に強く抗議し、教育行政の信頼を取り戻すために下記のことを要請します。



1,教科書調査員の複数推薦に入らなかった育鵬社の教科書を選定した理由・経過の説明責任を果たして
ください。
2,採択教科書を決定する市町村教育委員会の審議を公開してください。
3,憲法・民主主義の観点からも大きな問題のある育鵬社の公民教科書の採択はやめてください。
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