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堺市教育委員会 報告

8月18日15時から、堺市教育委員会会議の8月定例会が開催された。当初、堺市の広報には傍聴15人までと記載されていたので、これは抽選になるだろうなと思って、会場の中区民会館に行くと、もっと多くの傍聴席が用意されていた。たぶん、多くの傍聴者が来るであろうと予測して体制をつくったと思われる。正確な席数は数えなかったけれど、私が受け取った整理券番号が30番台後半で、傍聴者全員が入場して議事が始まってからでも10席ほどは空いていたので、50席程度は用意されていたようだ。

傍聴者の顔ぶれは、顔見知りも含めて広い意味での<こちら側>と思える人たちが約4割、教科書会社の社員と思われる人たちが約4割、あと2割がよくわからない人たちだった。

定刻に開始された後、まず、他の案件が審議された。教育長報告として堺市立小学校任期付校長の配置問題、議案として小中学校通学区域規則改正の件などが終わった後、いよいよ教科書採択の議案である。ここまでで約30分経過。

この議案に入ってまず、これまで各種団体からの要望書が98通、教科書展示会での意見が24件、寄せられていることが明らかにされた。この数字をどう見るか。これまでに私たちが、労働組合の立場や、市民団体の立場で申し入れに行った際には、「どちらの立場の要望書」も寄せられていることが明らかにされていた。

さて次に各教科書の採択に移る。しかし、前回の採択の時に傍聴した記憶では、各教科ごとにどれにするか議論して教科ごとに採決・決定していたが、今年は、各教科ごとに審議のうえ教育委員会会議としての原案を確認したあと、全教科が終了してからまとめて採決するということだ。しかも、その採決の部分は秘密会にするということである。このような議事運営自体、不当なものを感じる。民主主義から離れていっている。

そして、各教科の審議だが、まず、各教科の審議の冒頭に選定委員会を代表して柳井選定副委員長(堺市教委事務局学校教育部教務課長)から、それぞれの教科書ごとの特色を1ポイントずつ紹介し、そのあと、教育委員から質疑に対して選定委員会(実際には市教委事務局)が応答する。そして、質疑がつきたころを見計らって、委員長が「この教科の教科書は○○社のものを原案とすることでよろしいでしょうか」とはかって異議がなければ次の教科に進む、という段取りである。

実際、驚いたのは、質疑応答でどの教科の場合も教育委員からかなり質疑が数多く出されることである。このことは、「闊達な討議」といえば聞こえがいいが、実際には、しゃべりの委員が言いたいことを言う、という傾向に陥りがちであった。そのために、危うい方向に流れそうな時は一気に向かっていく可能性があるのではないかと、心配になった。

国語から始まった審議は、書写もあわせて30分以上かかった。議論の詳細は省くが、実はここでも委員から、「指導要領の改訂のポイントである伝統的な言語文化についての各社の扱いは?」という質疑が出されるなど、右翼的動機からの発言が見られた。

ちなみにこれ以降、どの教科でも必ず「学習指導要領の改訂のポイントは?」「それに伴う教科書のあつかい方は?」という質問が出されていた。そこにあるのは、学習指導要領まずありき、という認識であり、その法的拘束性について疑うような契機はおよそ感じられなかった。

次に社会科に入り、まず地理的分野から。東京書籍(東書)、教育出版(教出)、帝国書院(帝国)、日本文教出版(日文)の4社について、選定委員会からの紹介がされる。教育委員から多くの質問が出されたが、ここでの気になる発言は、①「原子力についての扱いは?」、②「『国土』『竹島』『尖閣諸島』『北方領土』などについて日本の主張は弱腰である。これらについての各社の扱いは?」、③「近畿地方の扱い、堺の扱いは?」、などである。

①はまあ当然の質問であるが、②の質問をした委員はこの後も何度も同傾向の質問(自分の意見開陳も含めて)を繰り返す人物であった(ちなみに、胸には拉致問題のブルーリボンバッジがついていた)。③は、当たり障りのない質問のように見えるが、実は指導要領の中では、郷土を愛する心と愛国心は一直線上のものである。

地理は結局日文が原案とされた。

次に歴史的分野。東書、教出、清水書院(清水)、帝国、日文、自由社、育鵬社の7社。ここでの委員からの発言と選定委員会(事実上の市教委)とのやりとりは、かなり今後の採択の動向を思わせるものであった。

というのも、歴史教科書について審議しているトーンや空気感、そして実際の発言内容は、ほとんど、自由社、育鵬社を採択するのか、と思わせないものであったからだ。たとえば、「伝統文化を大事にし、国に対する自尊心を育てる観点から各社を比べるとどうなのか?」「子どもたちに自国の誇り、自信をもたせる教育は?」などという発言が繰り返し、複数の委員の口から出て、それに対しナショナリズムの問題点を指摘したり人権重視の観点から提起するなどの発言はまったく見られなかった。

極めつけは、「『仁徳陵』の表記はどうなっているか? 所在地が堺市であるという表記はされているのか?」という発言である。「仁徳天皇陵となぜ書かないのか。私は今まで大仙古墳といういい方は知らなかった」まで言っていた。しかし、歴史をちょっとでもまじめにやったことがあるものなら、なぜ「仁徳天皇陵」といわず「大仙(大山)古墳」というのかということは自明の事柄である。あの古墳が「仁徳天皇の墳墓である」という実証はまったくどこにもされていないのは学界の公然の事実である。だから今までの歴史教科書にも「大仙(大山)古墳」としか書かれていなかった。ちなみに自由社版では「仁徳天皇陵(大仙古墳)」という表記である。

この委員の質問に対しては、市教委事務局は即座にその歴史認識の誤りを指摘すべきであったが、まったくそれには触れず、淡々と各社の表記を紹介するのみであった。

ただ、この歴史の審議を聞いていてひとつ感じたのは、上記で紹介したように、各委員からの発言はかなり右翼的トーンの色濃いものであり、その発言の土俵に乗って応答すれば、否応なく自由社または育鵬社がクローズアップされていた。しかし、柳井選定副委員長の応答は、かなり意識的に、その両社の露出を抑制的にして、他社の記述の紹介を意図的に多く語ったりするなど、それなりに準備されていたもののようであった。少なくとも市教委事務局が「つくる会系」の教科書に加担はしたくない、という空気をなんとなく感じ取った。

歴史の原案は東書となった。

さらに公民的分野の審議に入っていく。この分野の審議でキーワードになったのが、指導要領改訂のポイントともかかわる<対立と合意><効率と公正>というものであった。この点について最も評価が高かったのが日文であった。どの項目においても、2つのキーワードの観点からの問いかけを置いているのがその理由であった。また、選定委員会からさらに、日文には堺市のバリアフリーの実際のようすが取り上げられている(まさに、この日の会場となった施設)というアナウンスもされた。かなり、意図的に日文に誘導しようという雰囲気であった。

たしかに、原案は日文となった。

あと、地図帳は帝国が原案とされた。

ここまでで社会科だけで2時間近くかかっている。次に数学の審議に移った。しかし、まだ採決がされていないので、しかたなく残った。数学が終わるともう18時過ぎだ。開始の15時からすでに3時間以上経過。この調子で9教科全部するのか。

しかし、ここで5分間の休憩。この休憩を利用して、事務局に、最後の採決は全教科一括採決か個別採決かを確認した。答えは一括採決。ということは、全教科の原案をひっくり返すような採決はたぶんしないだろうと踏んで、私はこの時点で会場を後にした。

長い報告文になったが、まとめると、地理(日文)、歴史(東書)、公民(日文)、地図(帝国)という結果である。

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