東大阪市教委に対する抗議文

「育鵬社」版公民教科書の採択に強く抗議し、即刻再審議することを要求する!

子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

 東阪市教育委員会は、26日、教育委員会議において4対1の多数決で「育鵬社」版公民教科書を採択した。公立校での「育鵬社」版教科書の採択は、栃木県大田原市に続いて2例目であり、大阪府内では初めてのことである。私たちは、東大阪市教委の暴挙に対して満身の怒りを込めて抗議するとともに、即刻再審議することを要求する。

① 「育鵬社」版公民教科書は、日本国憲法を歪曲し改憲へと誘導する「違憲教科書」である。「育鵬社」版公民教科書は、大日本帝国憲法下において、天皇が直接政治を行ったわけではないとしたうえで、「日本国憲法は天皇の位置づけを、大日本帝国憲法での統治権の総覧者から、日本国及び日本国民統合の象徴へと、とらえ直しました」と記し、あたかも大日本帝国憲法と日本国憲法下で天皇の地位が変わることなく続いているかのような記述をしている。また、基本的人権についても見開き2ページの説明の中で、人権についての条文だけ列挙し、その一方で公共の福祉による人権の制限と国民の義務について詳しく記述している。基本的人権について人間の尊厳に由来する普遍的な権利であることをゆがめているのである。さらに平和主義の項には兵器の写真が満載で、対立は結局「力」で解決するしかないと教えている。このような記述の教科書では、子どもたちに誤った憲法観を植え付けるだけでなく、東大阪市教委が重点目標に掲げる「人間尊重に徹した人権教育の実践」はとうてい実現できない。

② 「育鵬社」版公民教科書は、他社と比べても原発推進の立場を強く押し出している。東日本大震災による福島原発の放射能汚染被害は、とどまるところを知らない。しかし、原子力「安全神話」が問い直されているまさにその時に、育鵬社公民教科書はあえて原子力発電所の建設を「国策」として子どもたちに押しつけている。「市に原子力発電所の開発計画がもち上がった! 国家規模の政策については、どのように考えればよいのでしょう」と子どもたちに問いかけ、「国策」は受け入れるべきものであり、結局「市民と原子力発電との共存」しかないと教えているのだ。放射能の被害を特に大きく受けるのは子どもたちである。その子どもたちの教育にもっとも責任を負うべき貴教育委員会が、このような教科書を採択するようなことなどあってはならない。

③ 「育鵬社」版公民教科書は、コリアタウンの写真を載せるなど、一見「多文化共生」を尊重しているかのように見せかけているが、その実、国家主義に貫かれており、事実上、「共生」を否定している。
「育鵬社」版公民教科書では「外国人参政権」を否定的に扱っている。EU諸国はEU市民であれば、地方参政権を与えている。例えばフランスはフランス国民でなければ、地方参政権が与えられないということではない。EUはそもそも国家という狭い枠組みを取り払い、政治・経済の統合をはかるという目的で結成された新しい共同体だからである。にもかかわらず、「育鵬社」版公民教科書では、EUを一つの国家であるかのように扱い、地方参政権を与えないのが世界の主流であるかのような記述をして、EUについてまったく誤った認識を子どもたちに与えている。
 「育鵬社」版公民教科書では「国旗」に忠誠を誓い、「国歌」を歌うのがあたりまえだと教えている。しかし、東大阪市もそうであるように、さまざまの国の人々がともに暮らす地域で、「国旗・国歌」を強制することは子どもたちに苦痛を与えるものでしかなく、まったく教育的ではない。
また、「育鵬社」版公民教科書は、領土について歴史的背景を無視して外務省見解を掲載し、相手国との対立を煽っている。たとえば、「竹島(韓国名・独島)」は、1905年に日露戦争の過程で軍事的必要性から一方的に島根県に編入したものであり、韓国併合のさきがけとなった侵略的行為である。にもかかわらず、「日本固有の領土」とか「韓国が不法占拠」などと教えることは、子どもたちに友好国への反感を煽ることにしかならず、百害あって一利なしである。

④ 「育鵬社」版公民教科書の表紙には日本列島の写真が掲載されているが、沖縄が割愛されている。北方領土は明確に写しだされているにも関わらず、沖縄がないことに、当該の沖縄県民は激しく抗議している。育鵬社は歴史教科書でも、沖縄戦への日本軍の関与にふれておらず、沖縄軽視の姿勢は明らかである。東大阪には歴史的に沖縄から移住者が多く、沖縄の歴史や文化をいまでも大切にされている。「育鵬社」版公民教科書は、そのような東大阪市の教育にふさわしくないことは明らかである。

旭川学力テスト最高裁判決(1976年5月21日)では、大綱的な内容に限って教育内容を政府が最低限の基準を決める権限を持つことを認める代わりに、行過ぎた権限行使をしてはならないとの念押しをした。さらに「例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法36条、13条の規定上からも許されない」と指摘している。これまで述べてきたように「育鵬社」版公民教科書は、旭川学テ判決が禁止する「誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつける」内容で違憲の疑いが濃厚であり、それを採択した貴教育委員会は、このままでは法的責任を問われることになるだろう。
 貴教育委員会は、良識にもとづき、この違憲な「育鵬社」版公民教科書の採択を取り消し、再審議を行うことを要求する。東大阪市には韓国・朝鮮にルーツを持つ子どもたちが多数公立学校に通っており、在日外国人教育や国際理解教育が活発に行われている。東大阪市の地域性を考えた教科書採択のやり直しを求める。

以上

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