大阪府下43の地教委への要請(子どもと教科書大阪ネット21)

大阪府下43の市町村教育委員会に下記の要請書を送りました。

               2011年 7月 5日
           教育委員会 御中
                      子どもと教科書大阪ネット21
                          代表委員  小牧 薫
                        (連絡先住所及び電話番号)                  
要   請   書

要請の趣旨

1.2012(平成24)年度用中学校教科書の採択にあたっては、政治的介入などを許さず、現場教員の意見を尊重した公平・公正な採択が行われるようにしてください。

2.自由社版中学校歴史ならびに公民教科書、および育鵬社版中学校歴史ならびに公民教科書を採択しないことを求めます。


要請の理由

1.現在、中学校教科書について来年度からの使用のための採択作業が行われていることと存じます。教科書は学校教育にとって主たる教材であり、教科指導の基本となるものです。その内容は、日本国憲法の精神に即して、次代を担う主権者を育成するものでなければなりません。教育においては、民主主義に基づく「個」の確立、基本的人権の尊重に裏付けられた人権意識の涵養が要請され、世界の諸国民との平和的友好に寄与できるような人格の育成が求められているからです。1966年に日本も賛成して採択されたILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」でも,「教員は、教材の選択および使用、教科書の選択ならびに教育方法の適用にあたって、不可欠の役割を与えられているものとする」と明記されています。教員が教科書選択に権利と責任を負うことは、国際社会の常識となっています。子どもと日々深く関わり、地域や子どもの状況をよく把握している教員の意見を重視して、子どもたちにふさわしい教科書を選んでください。

2.教科書採択に政治介入を許さないでください。
教科書採択について、大阪府下の複数の議会で「教育基本法や学習指導要領の趣旨をふまえた教科書の採択を」といった請願や陳情が提出されています。
しかし、このような請願や陳情は独立した行政委員会である教育委員会の権限とされている教科書採択の行政事務について、議会が介入・干渉しようとするものです。議会がこのよう請願や陳情を採択し、または同趣旨の決議を行うことは、教育に対する不当な支配を禁じる教育基本法16条1項に違反し、違法となります。こうした政治介入によって公正で公平、公開を貫いた教科書採択が歪められないようにしてください。

3.来年度から使われる中学校教科書の採択にあたり、自由社が発行する『新しい歴史教科書』ならびに『新しい公民教科書』(以後「自由社版」)、および育鵬社が発行する『新しい日本の歴史』『新しいみんなの公民』(以後「育鵬社版」)を、以下の理由で採択しないことを要請いたします。
これらの教科書は、以下に示す理由により、とうてい義務教育用教科書として採択すべきものとは考えられません。

自由社版・育鵬社版教科書を採択すべきでない理由

①他社の年表や資料を盗作して恥じない教科書です。

自由社版の「歴史年表」の「日本のおもなできごと」は、東京書籍の2002年度用歴史教科書から盗用していることが判明し、藤岡信勝「つくる会」会長(自由社版歴史の代表著作者)自身も「指摘を受けるまで気づかなかった。年表作成の担当者は自由社を退社しており、経過を確かめようがないが、関係者に迷惑をかけ、深くおわびする。」と認めています。

また、自由社や育鵬社は図版でも他社から盗用しています。育鵬社の「15世紀のアジア」「倭寇」「勘合貿易」の図は日本文教出版の2006年度版から、自由社の「東アジアの海上交易のネットワーク」の図版も東京書籍の06年度版からの盗用です。他社が苦労して作った年表や図版を盗用してつくられた教科書は、いわば著作権侵害の違法状態にあり、子どもたちが使うのにふさわしくないのは明らかであり、出版人としてだけでなく一市民としての見識が疑われます。

②ずさんで間違いだらけの子どもたちに不誠実な教科書です。

両社の教科書は検定合格したものですが、合格後も依然として誤りが多数含まれており、そのため歴史学関係者や社会科学の諸方面から、教科書としての欠陥が指摘されています。

文部科学省に訂正申請した訂正数は、自由社が歴史84、公民87、育鵬社が歴史84、公民118という膨大なものです。これらはほとんどが誤記です。検定時の検定意見数をあわせると、自由社が歴史321、公民226、育鵬社が歴史234、公民169となります。教科書発行資格が問われるほど、ずさんな編集で間違いだらけの教科書をつくっていることの明白な証明です。そして、今もまちがいや不適格な表現、内容が多くみつかっており、どちらも子どもたちに対して不誠実きわまりないものです。

<自由社版 歴史>

1.口絵3p 旧国名と都道府県名の左上の拡大図。畿内で現在の都道府県名なのに「大阪」が「大坂」になっている。

2.27p 右側側注 打製石器の全長10 cmは誤り。 7cmが正しい。

3.73p 下から2行目「表情のものもの」と「もの」がダブっている。

4.84p 右最終行 2字分空白。次ページからの字送りがされていない。

5.95p 10行目 「彼らは地侍とよばれた」が「彼らは地侍とよばた」と「れ」が脱字。

6.165p 左側3行目「職業選択の白由が認められ」「白由に経済活動ができる」と「自由」を「白由」と誤記。右の1行目「働くことを白己の使命」と「自己」を「白己」と誤記。

7.171p 6行目 「1973(明治6)年」は「1873(明治6)年」の誤記。

8.197p 右側12行目 4字空白。次行からの字送りがされていない。

9.237p 原爆の写真のキャプション「広島に投下された原子爆弾」は誤り。この写真は    長崎に投下された原子爆弾の写真である。

10.「帰化人」の用語。 49p「多くの難民が一族や集団で日本に移り住んだ。これを帰化人(または渡来人)という。」と、国家成立以前なのに「帰化」の用語を使うのは不適切。他社はすべて「渡来人」の用語を使っている。

11. ルビの不統一。93pの「尚氏」と124 pの「尚氏」、129 pの「浮世絵」など。初出の漢字にルビがなく、後出の漢字にルビ。例えば、124 pの「清朝」にルビがなく、167 pの「清」にルビ、など。

<育鵬社版 歴史>

1.219p 右下の注記 沖縄戦の日本側犠牲者「18万~19万人」の「半数以上は一般市民だった」はまちがい。検定の根拠にされている厚生省の沖縄戦戦没者総数では、県外出身日本兵の死者65,908人、一般住民の死者は約94,000人で、これに県出身の軍人・軍属の死者28,228人をどちらに加算するかで、日本軍の死者が半数以上と表現するか、県民の死者が半数以上とするかのちがいが生まれる。育鵬社の教科書は「一般市民」だけを論じているので誤り。

2. 219p 絵のキャプション「東京大空襲の惨状」は誤り。鈴木誠作「皇土防衛の軍民防空陣」という題である。

3. 232 p コラム「東京裁判」右4行目 BC級裁判により「死刑に処せられ」た人が「1000人を超える人々」だったとあるが、現在までの研究・調査では950人前後とするものばかりで、1000人以上であることの根拠を示して指摘したものはない。

4.年号の表記が不統一。基本は「1941(昭和16)年」などと、「西暦(元号)」と表記しているのに、222pには「昭和20(1945)年」となっている。

5.「帰化人」の用語。31p 小見出し「帰化人の伝えたもの」で「戦乱の続く朝鮮半島や中国から多くの人々が一族でわが国に移り住むようになりました。この人々を帰化人(渡来人)といいます。」と国家成立以前なのに「帰化人」の用語を使うのは不適切。他社はすべて「渡来人」としている。

これらの教科書を使って授業が行われれば、子どもたちに誤った事実を教えることになります。何より、学習上の支障がある不適切な教科書といわなければなりません。

③学習指導要領にも忠実でなく、近隣諸国との対立と緊張をもたらす教科書です。

これからの社会に求められるのは、国内外とも異質な文化などとの相互理解や共存です。国際化の時代にあって、他国との対話と相互理解をすすめることがますます重要になってきています。教育基本法にある教育の目標には「我が国と郷土を愛する」とありますが、それとともに「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」も併記されています。この目標を実現するためには、独善的な歴史観で日本の過去を美化したり、アジアにおける平和のための努力に逆行して、武力をもって国際社会に対応すべきことを強調するような内容や近隣諸国への敵対心ばかりをあおるような内容の教科書は、これからの日本をになう子どもたちの教科書としてふさわしくありません。

自由社や育鵬社の歴史教科書では近代におけるロシアの脅威を強調し、日本の韓国併合などの行為を正当化し、日本の中国や朝鮮への侵略行為も、悪いのは朝鮮・中国だといわんばかりの記述です。また、公民の教科書では、本来国内の人権問題を扱うべきところで中国の人権問題を持ち出したり、中国や朝鮮民主主義人民共和国など近隣諸国を蔑視したり、敵対心を持たせるような内容が随所に記述されており、国際理解・国際協調の見地から十分な配慮がなされていると言えません。

文部科学省が定めた学習指導要領に照らしても、自由社版、育鵬社版とも、近隣諸国の人々に対する蔑視に満ち、中学生に誤った偏見を植え付ける内容を多く含んでいます。

大阪府下に居住する外国人の子女の多くは、地域の公立学校に通学しており、日本人生徒とともに学校生活を送っています。これらの教科書が採択されれば、そうした子どもたちがおおいに傷つけられるばかりでなく、教室内にも偏見に基づいた対立を招きかねません。

④教育のためでなく、政治目的実現のためにつくられた教科書です。

上記のような欠点をもち、そのために多くに批判を受けてきたにもかかわらず、両社が教科書の発行を続けるのは、どちらの側も教育と教科書に名を借りた政治運動を背景とし、その目的実現の手段として教科書を利用しているからです。

育鵬社から歴史と公民の教科書を発行している「日本教育再生機構」の理事長である八木秀次氏は、第3代「新しい歴史教科書をつくる会」会長であり、内部分裂によって「新しい歴史教科書をつくる会」を脱退し、「日本教育再生機構」を創った人物です。育鵬社の歴史教科書の代表著作者の伊藤隆氏も元「新しい教科書をつくる会」理事でした。

藤岡信勝「新しい教科書をつくる会」現会長は、自由社版の歴史教科書の「代表著作者」であり、扶桑社からの教科書発行を拒否されて自由社から発行することにしたのです。「新しい歴史教科書をつくる会」と「日本教育再生機構」は、同じ目的でつくられた団体であり、二つの組織が発行する教科書は、その記述内容に表現の異なる部分がありますが双子の教科書というべきものです。

こうした政治目的でつくられた教科書を採択しないことを求めます。

以上
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