小学校・高校教科書問題で大阪市教委と交渉報告

7月31日、教科書問題で大阪市教委と交渉を持ちました。子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会の呼びかけで10人の市民が集まりました。市教委からは総務担当1名、初等教育担当3名、高等学校担当2名が参加し、2時間にわたり話し合いを持ちました。

■小学校採択問題

◇教科用図書選定委員を「教育委員会が市長の意見を聴いて」任命することの問題性

 今年の5月、新たに「大阪市義務教育諸学校教科用図書選定委員会規則」(以下、「選定委員会規則」)が定められ、その中では、選定委員について「教育委員会が市長の意見を聴いて任命し、又は委嘱する」と規定されました。私たちは、この点について選定委員の人選に市長の政治圧力が加わる危険性を指摘し、同規定の削除を求めました。
 市教委は、同規定を入れた理由として、大阪市には「審議会等の設置及び運営に関する指針」があり、選定委員会は審議会に位置づくこと。その結果、選定委員会の設置・運営に当たっては市長部局との「事前調整や報告」が必要であることを主張しました。そして、「市長の意見を聴いて」は、市長部局との事前調整を言い換えただけで、市長が人選に意見を言うことはないと、何度も言っていました。あくまでも実務的な言い方に過ぎないことを強調していました。
 しかし、「指針」には、市長部局との「事前調整や報告」とあるだけですので、「市長の意見を聴いて」は、「指針」の枠組みを踏み超えた拡大解釈です。どう読んでも、市長の介入の可能性を含む規定で、教科書採択への市長介入の誘発するものです。市教委のごまかしをさらに追及したいと思います。

◇選定委員に「区担当理事」=区長が入ることの問題性

 「選定委員会規則」には、委員として「区担当理事」=区長が入ることが規定されています。選定委員会のメンバーの名前は公開されていません。委員の構成については、教育センターおよび教職員が10名、学識経験者などが3名、保護者学校関係者が5名となっており、区長は教育センター及び教職員の10名の中に位置付くことが明らかになりました。しかし、区長が何名選定委員会に入っているかは、「採択に支障が生じるので答えることができない」との回答でした。どのような支障が生じるか答えるように追求しましたがまともな回答はなく、とにかく明らかにできないとの一点張りでした。
 また、24名の区長の中で、どのようにして選定委員を選んだのかを追及すると、市教委は区長会議に人選を依頼したことを明らかにしました。そもそも市教委は、区長が選定委員になることについて「区長としての立場で任命するものではなく、教育委員会事務局区担当理事として任命」していると回答していました。区長会議に依頼すること自体自己矛盾です。そもそも一人の人物が教育委員会区担当理事と区長を使い分けることなど不可能です。区長を選定委員とすることの矛盾は、今後、採択仮定が公開されたときに、問題にしていきたいと思います。

◇調査の観点から「人間尊重の精神に基づいて作成されているか」が、今年度から削除されていることについて

 市教委は、調査の観点から「人間尊重の精神」を外したのは、調査の観点の前文に同様の文面を入れたためだと主張しました。そこで、調査の観点の前文を見ると、そこには
橋下市長が主導して作った「大阪市教育振興基本計画」の「基本となる考え方」が抜粋されているだけでした。

具体的には
・一人ひとりの子どもを、個人としての尊厳を重んじ、その意見を尊重するとともに、自由と規範意識、権利と義務を重んじ、自己の判断と責任で道を切り拓き、真理と正義を求め、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備え、グローバル化が進む国際社会において力強く生き抜くことができる人間としてはぐくむこと
・子どもたちが、我が国と郷土の伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた国と、自らが育ったこの大阪を愛し、大阪にふさわしい新しい文化の創造をめざすようになること

市教委は、その中に「人間尊重の精神」は含まれていると強弁しました。しかし、上記の文章を読んでも、「人間尊重の精神」が強調されているのではなく、大阪市教育振興基本計画に基づいて教科書を選定しろと、言っているとしか思えません。

■高校採択問題

昨年の市教委は、附帯決議に「教育委員会は答申書を参考にしつつ、自ら調査研究を行い、教科用図書を選定するものとする」と書いていますが、私たちはその非現実性を追及し、この採択制度がすでに破綻していることを訴えました。

まず、今年の市教委の高校採択についてですが、市教委は以下の4パターンをあげています。
A1:2014年検定合格した教科書を選定する場合
A2:今年度新たに2014年度以前に採択された教科書(2012、2013)を選定する場合
B :今年度使用している教科書とは違う教科書を選定する場合
C :今年度使用教科書を継続する場合

この中で、各学校が希望順位をつけず2点選定するのはA1とA2です。どちらも今年度新たに新課程の教科書を選定するところです。これらについては、各学校は希望順位をつけずに選定していますので、何を採択するかは教育委員の調査研究に左右されることになります。つまり、各学校の選定を事実上させないのはA1とA2の場合です。

教育委員は、附帯決議で「自ら調査研究を行い」といいつつ、私たちに「全校の全種目について、平等に調査研究することは合理的でないため、教科や科目、観点を絞り踏査研究を行います。」と回答しました。「平等に調査研究することは合理的でない」主張することは、教育委員が「自ら調査研究」することができないことを告白しているといえます。そこで、どのように「絞った」のか追及すると、今年度検定合格した教科書の多い国語と英語に絞って調査研究するとのことでした。教育委員の調査研究のために、国語と英語の教科書22冊(複数のセットで)を用意しており、そのほかの教科として25冊の教科書を閲覧を可能としていたようです。これらは、全て2014年度に検定合格したものばかりです。

しかし、今年度検定合格したのは国語と英語だけではありません。また、A2は2014年以前に検定合格したもので、今回教育委員の閲覧対象になっていません。今日、A1とA2であげている学校は多数あり、教科も国語と英語だけでなく、書道、音楽、美術、地理歴史、理科(生物)、数学などでもあることがわかりました。教育委員は、少なくとも国語と英語以外では、教科書を読まずに採択しているということになります。

現実的に考えて、教科の専門性の高い高校教科書について、しかも小学校採択と重なる今年度、全ての教科書を読むことさえできないのは容易に想像できます。そこで、教育委員会が考えたのが教育委員会事務局を使うと言うこことです。事務局担当者が、各学校の教育方針や生徒の状況を把握し、さらには各学校での教員の意向を聞き取り、文書で教育委員に伝えているとのことでした。このような教育委員会事務局の動きは、市教委の採択方法を定める文書には、どこにもでてきません。しかし、今日、市教委は文書の存在自体を認め、公文書であることも認めました。この文書は採択後に公開請求し、どのような実態があったのか、明らかにしたいと思います。
 高校採択の交渉を通して感じたことは、学校選定をさせないこと、教育委員が「自ら調査研究し」採択することが現実的には不可能であり、それを進めようとすれば、矛盾が露呈することが明らかにしました。

 大阪市では、高校採択も小学校採択も8月の2週目ぐらいに行われる予定です。さらなる監視を強め、日程が決まれば当日の傍聴行動を呼びかけたいと思います。
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