2011年検定合格の中学校教科書に対する修正要求記者会見(韓国)
韓国のアジアの平和と歴史教育連帯です。
去る7月20日(水)に日本東京・ $BJ8It2J3X>J5-2011年検定合格の中学校教科書に対する修正要求」記者会見を行いました。
今回の記者会見は韓国のアジアの平和と歴史教育連帯・(社)アジアの平和と歴史研究所と日本では「フォーラム平和・人権・環境」の協力を得て共催で実施しました。
私どもは「近隣諸国条項」の遵守!「中学校社会科の学習指導要領解説書」改正!を先頭に求めながら、社会科の7社の出版社に対して分析を行い、177箇所の修正要求を作成しました。
今回、修正要求を作成した理由は、
第一の「近隣諸国条項」の遵守、第二の「中学校社会科の学習指導要領解説書」における独島関連項目の削除という私たちの要求、そして第三として以下に添付する教科書内容の修正要求は、韓国の「アジアの平和と歴史教育連帯」とともに、歴史問題研究所、東アジア歴史研究所、全国歴史教師の会、韓国歴史教育学会、韓国歴史研究会などが共同で開催した学術シンポジウムにおいて意見を集約し、関連分野別に専門の研究者たちが再度分析し討論を経て作成したものです。私たちは、可能なかぎり多くの研究者からの意見を収斂し学術的検討を進めた。それは、私たちの要求と分析そのものが、韓日間の歴史認識の違いを越えアジア平和共同体を創る上で肥しとなる、共同の歴史認識の模索過程であると理解するしたからです。
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記者会見資料
「近隣諸国条項」の遵守! 「中学校社会科の学習指導要領解説書」の改正!
2011年検定合格の中学校教科書に対する 修正要求記者会見
2011年7月20日(水)
アジアの平和と歴史教育連帯・(社)アジアの平和と歴史研究所
≪修正要求書の前文≫
「近隣諸国条項」の遵守及び「中学校社会科の学習指導要領解説書」の修正と2011年検定合格の中学校教科書に対
する修正を求める
「アジアの平和と歴史教育連帯」は、韓国の様々な研究者と市民の意見を集め、2005年に引き続き、再び日本の中学校教科書における韓国関連の記述を修正するよう求める。この度の検定に合格した社会科教科書の内容を分析した結果、2005年にも修正を求めているにもかかわらず、韓国の歴史に関連する内容において改善よりは巧妙に悪化した記述が増えているからである。
教科書が学習指導要領とその解説書に基づいて執筆されるため、今回の教科書の内容が後退するであろうことは、2008年の学習指導要領及びその解説書が改定された際に予想できたことでもあった。改定された教育基本法(2007年)に沿った新学習指導要領はとりわけ愛国心を強調しているが、2011年の検定ではそれを好機とせんばかりに、中学生を天皇の臣民として、戦争のできる国・日本の国民として教育しようする教科書が登場するだろうと考えられたからである。
いま、世界では様々な国や民族が協力しつつ平和と共同の繁栄を追求している。その実現に向けた道のりにおいて、歴史教育は子どもたちに過去と現在に対する批判的な視点と未来指向的な世界観を育ませる上で役立てられるべきであろう。偏狭な国家主義・愛国主義的な歴史教育は戦争と侵略、植民地支配が大手を振っていた時代には支配イデオロギーの道具であった。21世紀の日本がそのような歴史教育を仮にも追い求めるというならば、それは時代錯誤であり、先の世紀の悲劇を繰り返す危険性を高める行為となるだろう。
2011年の検定に合格した教科書は、韓国関連の記述において一部改善された点も見受けれるが、多くの部分で依然として韓国に対する歪んだ歴史認識を堅持している。また、日本による植民地支配と侵略戦争を美化する記述に深刻な問題点を表しているばかりでなく、古代史から植民地認識に至るまで、韓国人としては到底受け入れがたい記述を含んでいる。
韓国の歴史が古朝鮮から始まっていることは、文献や考古学的資料に裏付けられた歴史的事実である。しかしながら、日本の歴史教科書は一即多に千篇一律のごとく古朝鮮の歴史には触れず、古朝鮮が滅亡する中で設置された漢四郡から韓国の歴史を始めている。これは、韓国史が中国の植民地から出発したという植民地史観が主張する他律性論の残滓に他ならない。日本の教育出版から発行された2005年版中学校歴史教科書には古朝鮮に関する言及があったが、今回は削除されており、今回の東京書籍の検定申請本には古朝鮮の記述があったものの、文科省の検討意見により削除されており、極めて遺憾なことである。また、古代の朝鮮半島と日本の交流はあえて無視するかのような記述も問題である。
壬辰倭乱の侵略的性格を隠蔽するために「出兵」という用語を使用している。1982年、中国に対する侵略を隠蔽するために「進出」という言葉を使ったがために、日本政府が謝罪の表明に追い込まれた上、「近隣諸国条項」を設けることで国際社会に向かって同様の事柄の再発防止を約束した経緯を思い起こすならば、この出兵もまた侵略行為の代わりに使用されてはいけない言葉であろうに違いない。
2011年版の歴史教科書の相当数は、東学農民戦争と義兵戦争の過程で日本軍が犯した蛮行を紹介していない。また、ほとんどの教科書が、在朝鮮日本公使の指示を受けた日本の政治浪人たちが犯した、朝鮮王妃殺害という許されざる犯罪事実について全く記録すらしていない。
今回の教科書の最も大きな特徴は、戦争に関する記述が偏っているという点である。自由社及び育鵬社版の教科書は、アジア太平洋戦争を露骨に大東亜戦争・アジア解放戦争として美化している。戦争の最後の瞬間まで韓国を自国の植民地に留めおこうとあらゆる努力を尽くした日本が、アジア諸国の独立のために戦争を起こしたという論理が果たして理解を得られるものだろうか。そのような主張は、戦争を起こした犯罪者たちが自身の行為を美化するために掲げた偽りの宣伝を繰り返しているに過ぎない。これを21世紀の日本の次世代に教えるということは何を意味するのだろうか。まさにアジアの未来の平和を脅かす恐ろしい事態に他ならない。
これらの教科書には植民地支配に対する反省も込められていない。育鵬社版教科書には韓国の民族衣装をまとう伊藤博文の写真が掲載されており、自由社販教科書には植民地朝鮮でハングル教育が行われていたという内容と写真が掲載されている。こういった内容は、日本の植民地支配政策が、まるで韓国の文化を日本が受容するものであったり、朝鮮人にハングルを教えアイデンティティを失わないものであったという認識を持たせようと意図するものであることは言うまでもない。日本帝国主義の時代における朝鮮の「国語」教育が日本語教育であったことは
誰もが知っている事実である。それにも飽き足らず、これらの教科書は日本が様々な建設や支援を通して韓国を近代化したかのように美化している。
しかし、教科書全てを詳しく読んでみると、戦争と植民地に対する美化はこれら2社の教科書に限ったことではないという事実を発見することができる。ほとんどの教科書が、日露戦争について、ロシアのアジア侵略に打ち勝った日本の「正義の勝利」「歴史的な勝利」であるかのように巧妙に美化している。
さらに、日清戦争に関する記述でも、朝鮮の独立を強調したり、清の日本脅威論をあげて正当化しようとする記述をも試みている。このような戦争美化の記述が「愛国心」の強調という日本の当局の教育方針によるものだとしても、子どもたちに与える悪影響を考えるならば、決して容認されてはならないものであるに違いない。
ほとんどの教科書は植民地時代の強制動員に関する記述も後退させている。日本が強制的に動員した人的・物的資源の内容を縮小している。関東大震災の時に虐殺された朝鮮人・中国人に関する記述も弱くなっている。そして一種も残さず全ての教科書が日本軍「慰安婦」について記述していないということは、実に驚くべきことである。もちろん、一部の教科書では「工場などで働くことになった女性」や「戦場で働く女性」が言及されている。しかし、こういった記述は、一方では日本軍「慰安婦」を説明するきっかけになり得るものではあるが、逆に彼女たちの存在を労働者という立場に隠蔽してしまう可能性もはらんでいるという点で大変残念な記述でもある。
2011年の検定に合格した教科書の記述のもう一つの大きな特徴は、1種の歴史教科書と7種の公民教科書、そして4種の地理教科書において、愛国主義の最高値の表現ともいえる領有権の記述を強化したことである。特に、独島の領有権に関しては、ほとんどの教科書が日本の外務省の主張をそのまま踏襲している。外務省の主張は日本の中でも強い異論が存在する、かなり政治的な性格を帯びたものである。
学界での議論も分かれる政治的な主張を教科書にそのまま載せるということは、21世紀の教育の目的と教科書の地位を著しく貶める行為だと言わざるを得ない。そればかりでなく、文部科学省が直接介入して記述の方向性を指示し修正を強いた事実は、執筆者たちの良心と教育者たちの人格を冒涜する行為であった。
独島を日本が一方的に編入したのは、日露戦争に必要な望楼を建設するためだった。相当数の教科書が独島を日本の固有の領土であると主張しているが、その固有の領土を、1905年に至ってわざわざ島根県の告示を通して編入しなければならなかったという矛盾については説明していない。アジア太平洋戦争以降、国際社会から領有権を認めれたという主張も事実無根である。ほとんどの教科書が載せている「竹島」関連の記述は、このように根拠のない主張である。
独島に関する無理な主張は、韓国と日本の間に不要な葛藤を増幅させる核心的要素である。それは、今年の3月、韓国人の善意に冷水が差された例がよく示している。3.11の後、日本軍「慰安婦」被害者をはじめとした多くの韓国人が、日本の被災者を支えたいという思いから、進んで力をあわせた。しかし、日本の国は独島領有権の記述を「指導」した教科書の検定結果の発表を強行し、韓国人の真心に大きな傷を与えた。
私たちは、日本の教科書が平和や人権といった人類の普遍的価値を追求する追及するものであって欲しいと願う。また、そのような教科書で子どもたちが平和的な教育を受けることを望んでいる。歪曲された歴史教育は東アジア諸国とその人々に被害を負わせるばかりでなく、日本の子どもたちをも不幸な境遇へ陥れてしまうだろう。戦争と植民地支配の過ちを悔いることを知らないまま、それを美化する歴史認識を子どもたちが持つようになってしまったら、日本とアジアにとって大きな不幸である。私たちは、日本が自ら宣言した「近隣諸国条項」を守っていかれることを丁重に求めるものである。
また、現在、韓日両国の間の葛藤を煽り、日本の子どもたちに閉鎖的な愛国主義と国家主義を植えつける道具として利用されている、「中学校社会科の学習指導要領解説書」における独島領有権主張の関連項目を削除するよう強く求める。この条項と、それにかかる教科書記述は、日本の教科書を政治的道具へと転落させることにとどまらず、韓国の教科書における独島関連記述を強化させる役割をしている。韓国と日本の間の不必要な葛藤をなくすためにも、この条項の削除を直ちに行うよう求める。
第一の「近隣諸国条項」の遵守、第二の「中学校社会科の学習指導要領解説書」における独島関連項目の削除という私たちの要求、そして第三として以下に添付する教科書内容の修正要求は、韓国の「アジアの平和と歴史教育連帯」とともに、歴史問題研究所、東アジア歴史研究所、全国歴史教師の会、韓国歴史教育学会、韓国歴史研究会などが共同で開催した学術シンポジウムにおいて意見を集約し、関連分野別に専門の研究者たちが再度分析し討論を経て作成したものである。私たちは、可能なかぎり多くの研究者からの意見を収斂し学術的検討を進めた。それは、私たちの要求と分析そのものが、韓日間の歴史認識の違いを越えアジア平和共同体を創る上で肥しとなる、共同の歴史認識の模索過程であると理解するしたからである。
私たちの要求は、韓日間の平和な未来とアジアの平和をともに創っていきたいという願いに他ならない。
去る7月20日(水)に日本東京・ $BJ8It2J3X>J5-2011年検定合格の中学校教科書に対する修正要求」記者会見を行いました。
今回の記者会見は韓国のアジアの平和と歴史教育連帯・(社)アジアの平和と歴史研究所と日本では「フォーラム平和・人権・環境」の協力を得て共催で実施しました。
私どもは「近隣諸国条項」の遵守!「中学校社会科の学習指導要領解説書」改正!を先頭に求めながら、社会科の7社の出版社に対して分析を行い、177箇所の修正要求を作成しました。
今回、修正要求を作成した理由は、
第一の「近隣諸国条項」の遵守、第二の「中学校社会科の学習指導要領解説書」における独島関連項目の削除という私たちの要求、そして第三として以下に添付する教科書内容の修正要求は、韓国の「アジアの平和と歴史教育連帯」とともに、歴史問題研究所、東アジア歴史研究所、全国歴史教師の会、韓国歴史教育学会、韓国歴史研究会などが共同で開催した学術シンポジウムにおいて意見を集約し、関連分野別に専門の研究者たちが再度分析し討論を経て作成したものです。私たちは、可能なかぎり多くの研究者からの意見を収斂し学術的検討を進めた。それは、私たちの要求と分析そのものが、韓日間の歴史認識の違いを越えアジア平和共同体を創る上で肥しとなる、共同の歴史認識の模索過程であると理解するしたからです。
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記者会見資料
「近隣諸国条項」の遵守! 「中学校社会科の学習指導要領解説書」の改正!
2011年検定合格の中学校教科書に対する 修正要求記者会見
2011年7月20日(水)
アジアの平和と歴史教育連帯・(社)アジアの平和と歴史研究所
≪修正要求書の前文≫
「近隣諸国条項」の遵守及び「中学校社会科の学習指導要領解説書」の修正と2011年検定合格の中学校教科書に対
する修正を求める
「アジアの平和と歴史教育連帯」は、韓国の様々な研究者と市民の意見を集め、2005年に引き続き、再び日本の中学校教科書における韓国関連の記述を修正するよう求める。この度の検定に合格した社会科教科書の内容を分析した結果、2005年にも修正を求めているにもかかわらず、韓国の歴史に関連する内容において改善よりは巧妙に悪化した記述が増えているからである。
教科書が学習指導要領とその解説書に基づいて執筆されるため、今回の教科書の内容が後退するであろうことは、2008年の学習指導要領及びその解説書が改定された際に予想できたことでもあった。改定された教育基本法(2007年)に沿った新学習指導要領はとりわけ愛国心を強調しているが、2011年の検定ではそれを好機とせんばかりに、中学生を天皇の臣民として、戦争のできる国・日本の国民として教育しようする教科書が登場するだろうと考えられたからである。
いま、世界では様々な国や民族が協力しつつ平和と共同の繁栄を追求している。その実現に向けた道のりにおいて、歴史教育は子どもたちに過去と現在に対する批判的な視点と未来指向的な世界観を育ませる上で役立てられるべきであろう。偏狭な国家主義・愛国主義的な歴史教育は戦争と侵略、植民地支配が大手を振っていた時代には支配イデオロギーの道具であった。21世紀の日本がそのような歴史教育を仮にも追い求めるというならば、それは時代錯誤であり、先の世紀の悲劇を繰り返す危険性を高める行為となるだろう。
2011年の検定に合格した教科書は、韓国関連の記述において一部改善された点も見受けれるが、多くの部分で依然として韓国に対する歪んだ歴史認識を堅持している。また、日本による植民地支配と侵略戦争を美化する記述に深刻な問題点を表しているばかりでなく、古代史から植民地認識に至るまで、韓国人としては到底受け入れがたい記述を含んでいる。
韓国の歴史が古朝鮮から始まっていることは、文献や考古学的資料に裏付けられた歴史的事実である。しかしながら、日本の歴史教科書は一即多に千篇一律のごとく古朝鮮の歴史には触れず、古朝鮮が滅亡する中で設置された漢四郡から韓国の歴史を始めている。これは、韓国史が中国の植民地から出発したという植民地史観が主張する他律性論の残滓に他ならない。日本の教育出版から発行された2005年版中学校歴史教科書には古朝鮮に関する言及があったが、今回は削除されており、今回の東京書籍の検定申請本には古朝鮮の記述があったものの、文科省の検討意見により削除されており、極めて遺憾なことである。また、古代の朝鮮半島と日本の交流はあえて無視するかのような記述も問題である。
壬辰倭乱の侵略的性格を隠蔽するために「出兵」という用語を使用している。1982年、中国に対する侵略を隠蔽するために「進出」という言葉を使ったがために、日本政府が謝罪の表明に追い込まれた上、「近隣諸国条項」を設けることで国際社会に向かって同様の事柄の再発防止を約束した経緯を思い起こすならば、この出兵もまた侵略行為の代わりに使用されてはいけない言葉であろうに違いない。
2011年版の歴史教科書の相当数は、東学農民戦争と義兵戦争の過程で日本軍が犯した蛮行を紹介していない。また、ほとんどの教科書が、在朝鮮日本公使の指示を受けた日本の政治浪人たちが犯した、朝鮮王妃殺害という許されざる犯罪事実について全く記録すらしていない。
今回の教科書の最も大きな特徴は、戦争に関する記述が偏っているという点である。自由社及び育鵬社版の教科書は、アジア太平洋戦争を露骨に大東亜戦争・アジア解放戦争として美化している。戦争の最後の瞬間まで韓国を自国の植民地に留めおこうとあらゆる努力を尽くした日本が、アジア諸国の独立のために戦争を起こしたという論理が果たして理解を得られるものだろうか。そのような主張は、戦争を起こした犯罪者たちが自身の行為を美化するために掲げた偽りの宣伝を繰り返しているに過ぎない。これを21世紀の日本の次世代に教えるということは何を意味するのだろうか。まさにアジアの未来の平和を脅かす恐ろしい事態に他ならない。
これらの教科書には植民地支配に対する反省も込められていない。育鵬社版教科書には韓国の民族衣装をまとう伊藤博文の写真が掲載されており、自由社販教科書には植民地朝鮮でハングル教育が行われていたという内容と写真が掲載されている。こういった内容は、日本の植民地支配政策が、まるで韓国の文化を日本が受容するものであったり、朝鮮人にハングルを教えアイデンティティを失わないものであったという認識を持たせようと意図するものであることは言うまでもない。日本帝国主義の時代における朝鮮の「国語」教育が日本語教育であったことは
誰もが知っている事実である。それにも飽き足らず、これらの教科書は日本が様々な建設や支援を通して韓国を近代化したかのように美化している。
しかし、教科書全てを詳しく読んでみると、戦争と植民地に対する美化はこれら2社の教科書に限ったことではないという事実を発見することができる。ほとんどの教科書が、日露戦争について、ロシアのアジア侵略に打ち勝った日本の「正義の勝利」「歴史的な勝利」であるかのように巧妙に美化している。
さらに、日清戦争に関する記述でも、朝鮮の独立を強調したり、清の日本脅威論をあげて正当化しようとする記述をも試みている。このような戦争美化の記述が「愛国心」の強調という日本の当局の教育方針によるものだとしても、子どもたちに与える悪影響を考えるならば、決して容認されてはならないものであるに違いない。
ほとんどの教科書は植民地時代の強制動員に関する記述も後退させている。日本が強制的に動員した人的・物的資源の内容を縮小している。関東大震災の時に虐殺された朝鮮人・中国人に関する記述も弱くなっている。そして一種も残さず全ての教科書が日本軍「慰安婦」について記述していないということは、実に驚くべきことである。もちろん、一部の教科書では「工場などで働くことになった女性」や「戦場で働く女性」が言及されている。しかし、こういった記述は、一方では日本軍「慰安婦」を説明するきっかけになり得るものではあるが、逆に彼女たちの存在を労働者という立場に隠蔽してしまう可能性もはらんでいるという点で大変残念な記述でもある。
2011年の検定に合格した教科書の記述のもう一つの大きな特徴は、1種の歴史教科書と7種の公民教科書、そして4種の地理教科書において、愛国主義の最高値の表現ともいえる領有権の記述を強化したことである。特に、独島の領有権に関しては、ほとんどの教科書が日本の外務省の主張をそのまま踏襲している。外務省の主張は日本の中でも強い異論が存在する、かなり政治的な性格を帯びたものである。
学界での議論も分かれる政治的な主張を教科書にそのまま載せるということは、21世紀の教育の目的と教科書の地位を著しく貶める行為だと言わざるを得ない。そればかりでなく、文部科学省が直接介入して記述の方向性を指示し修正を強いた事実は、執筆者たちの良心と教育者たちの人格を冒涜する行為であった。
独島を日本が一方的に編入したのは、日露戦争に必要な望楼を建設するためだった。相当数の教科書が独島を日本の固有の領土であると主張しているが、その固有の領土を、1905年に至ってわざわざ島根県の告示を通して編入しなければならなかったという矛盾については説明していない。アジア太平洋戦争以降、国際社会から領有権を認めれたという主張も事実無根である。ほとんどの教科書が載せている「竹島」関連の記述は、このように根拠のない主張である。
独島に関する無理な主張は、韓国と日本の間に不要な葛藤を増幅させる核心的要素である。それは、今年の3月、韓国人の善意に冷水が差された例がよく示している。3.11の後、日本軍「慰安婦」被害者をはじめとした多くの韓国人が、日本の被災者を支えたいという思いから、進んで力をあわせた。しかし、日本の国は独島領有権の記述を「指導」した教科書の検定結果の発表を強行し、韓国人の真心に大きな傷を与えた。
私たちは、日本の教科書が平和や人権といった人類の普遍的価値を追求する追及するものであって欲しいと願う。また、そのような教科書で子どもたちが平和的な教育を受けることを望んでいる。歪曲された歴史教育は東アジア諸国とその人々に被害を負わせるばかりでなく、日本の子どもたちをも不幸な境遇へ陥れてしまうだろう。戦争と植民地支配の過ちを悔いることを知らないまま、それを美化する歴史認識を子どもたちが持つようになってしまったら、日本とアジアにとって大きな不幸である。私たちは、日本が自ら宣言した「近隣諸国条項」を守っていかれることを丁重に求めるものである。
また、現在、韓日両国の間の葛藤を煽り、日本の子どもたちに閉鎖的な愛国主義と国家主義を植えつける道具として利用されている、「中学校社会科の学習指導要領解説書」における独島領有権主張の関連項目を削除するよう強く求める。この条項と、それにかかる教科書記述は、日本の教科書を政治的道具へと転落させることにとどまらず、韓国の教科書における独島関連記述を強化させる役割をしている。韓国と日本の間の不必要な葛藤をなくすためにも、この条項の削除を直ちに行うよう求める。
第一の「近隣諸国条項」の遵守、第二の「中学校社会科の学習指導要領解説書」における独島関連項目の削除という私たちの要求、そして第三として以下に添付する教科書内容の修正要求は、韓国の「アジアの平和と歴史教育連帯」とともに、歴史問題研究所、東アジア歴史研究所、全国歴史教師の会、韓国歴史教育学会、韓国歴史研究会などが共同で開催した学術シンポジウムにおいて意見を集約し、関連分野別に専門の研究者たちが再度分析し討論を経て作成したものである。私たちは、可能なかぎり多くの研究者からの意見を収斂し学術的検討を進めた。それは、私たちの要求と分析そのものが、韓日間の歴史認識の違いを越えアジア平和共同体を創る上で肥しとなる、共同の歴史認識の模索過程であると理解するしたからである。
私たちの要求は、韓日間の平和な未来とアジアの平和をともに創っていきたいという願いに他ならない。
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