2016年度使用中学校教科書の採択に関する要望書と公開質問状

4月8日、大阪府教育委員会に要望書を提出しました。

2016年度使用中学校教科書の採択に関する要望書と公開質問状

                             2015年4月8日
大阪府教育委員会教育長   様
大阪府教科用図書選定審議会 様
                     子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

 2016年度から使用される教科書の採択に向けて、すでに多くの教育委員会で採択過程に入っていることと思います。今年の中学校教科書採択は新教育委員会制度になって初めての採択であり、どのような方法と基準で教科書が採択されるのか、子どもたちの教育に直接携わる教員の意見がどのように反映されるのか、注目されているところです。
 1995年にユネスコ第44回国際教育会議では「74年国際教育勧告」に沿って「平和・人権・民主主義のための教育宣言」が採択されています。その中では、教育は平和・人権・民主主義を促進するためにあるという「国際基準」が示されました。教科書はそれらを推進するために極めて大切なものです。
 私たちは、憲法の理念や近隣諸国との友好関係を深める観点、そしてユネスコ「74年国際教育勧告」に沿って公正かつ民主的に教科書採択が行われるよう貴教育委員会に以下の要望と質問をします。
貴教育委員会からの回答は公表を予定しています。ご多忙と思いますが、回答を5月10日(金)までにお寄せください

【要望書】

1.「人権の取扱い」を重視した調査研究を行ってください。
 貴教育委員会が作成する「教科書を調査研究する観点」には、従来から「人権の取扱い」が項目に含まれています。大阪には、部落問題や在日外国人問題、障がい者問題などさまざまな人権に関わる問題があり、教育課題としても積極的に取り上げられてきたところです。そのため、「人権の取扱い」は、大阪の教育にとって極めて重要な観点になると考えています。今年の中学校採択においてもこの観点を重視するよう要望します。

2.アジア諸国との友好関係を発展するために「近隣諸国条項」を採択基準に入れてください。
 1982年の教科書問題を発端にして文部省は、教科書検定基準の中に「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」という近隣諸国条項を設けました。当時の宮沢官房長官は、「過去において、我が国の行為が韓国・中国を含むアジアの国々の国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩んで来た」とし、この精神が「我が国の学校教育、教科書の検定にあたっても、当然、尊重されるべきものである」と、「近隣諸国条項」を設けた趣旨を説明しました。この「近隣諸国条項」は現在に至るまでアジアとの友好関係を発展させていくための重要な観点として維持されてきたところです。
 また、国連子どもの権利委員会の日本に対する政府報告書審査最終所見(2010年6月15日)でも、「日本の歴史教科書が、歴史的事実に関して日本政府による解釈のみを反映しているため、アジア・太平洋地域における国々の子どもの相互理解 を促進していないとの情報を懸念する。」と勧告しています。
 これからの未来を担う子どもたちが、アジアとの友好関係を築いていくことは極めて重要なことです。そのために正しい歴史認識を伝えていくことは教育の重要な役割です。私たちは、中学校教科書採択において「近隣諸国条項」を重視すべきだと考えています。
 とりわけ大阪には、在日韓国朝鮮人をはじめ多くの外国にルーツを持つ子どもたちが日本の学校に通っています。近隣諸国との友好関係を発展させるために、自国中心の歴史認識ではなく、過去の日本の侵略と植民地支配の歴史を真摯に受け止める教育が必要です。
 
3.偏狭なナショナリズムに繋がる「愛国心」を採択基準に加えないでください。
 教育基本法には、「愛国心」に繋がる目標がありますが、そこには「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が同時に明記され、偏狭なナショナリズムに陥ることがないように求めています。偏狭なナショナリズムを喚起する教科書が何をもたらしたのか、戦前の教育が明瞭に示しているからです。

4.恣意的な教科書の特色を描き出す数値データ化をやめてください。
 貴委員会では、前回の中学校採択から「選定資料」の中で「教科用図書の特色が明らかになるような客観的な数値データ」を記載した「資料2」を作成しています。そこでは、何を項目として取り上げるかによって、意図的に教科書の特色を描いてみせることができます。また、教科書の特色は、ある特的の項目の記述箇所数だけで分かるものではありません。教科書全体の文脈の中でつかむことで、何を大切にしている教科書なのかを理解することが大切です。

5.各市町村教育委員会に対して「多くの教員の意向が反映される」採択方法を執るように指導・助言してください。
 教科書採択にあたっては、現場の教職員の意見を十分聞き、それを教科書採択に反映すべきです。1997年3月28日「規制緩和推進計画の再改訂について(閣議決定)」の中でも、教科書の採択制度について「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があるとの観点に立ち、当面の措置として、教科書採択の調査研究により多くの教員の意向が反映されるよう、現行の採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についての都道府県の取り組みを促す。」ことが明記されています。
 また、国際的にも「ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」によって「教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別の資格を認められたものであるから、承認された計画の枠内で、教育当局の援助を受けて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の採用などについて不可欠な役割を与えられるべきである。」と明記されています。
 しかし、大阪府内の市町村教委の中には、教員による調査研究を軽視するところがあるのが現状です。

【質問状】

1.今年度の教科書採択では、採択手続き、採択方針、選定資料作成などに関して昨年の小学校教科書採択から変更する点はあるのでしょうか。変更点があるとしたらどのような点に関してでしょうか。

2.貴委員会では、前回の中学校採択から「採択基準」「調査の観点」の変更をお考えでしょうか。また、近隣諸国条項の趣旨を生かした「アジアとの友好関係を深める」観点を盛り込まれるのでしょうか。

3.要望書にもあるとおり、教科書採択において教員の意見を尊重することは極めて重要です。貴教育委員会は、教科書採択で教員の意見を尊重することについて、各市町村教育委員会に周知徹底される予定でしょうか。また、どのような方法でされるのでしょうか。

4.貴委員会では、昨年「選定資料」の中に「教科用図書の特色が明らかになるような客観的な数値データ」を記載した「資料2」を作成しています。上記の「要望書」にあるように、「資料2」は、教科書の恣意的な評価を可能にし、公正・公平な「資料」とならない恐れがあります。今年度の中学校採択においては「資料2」を作成するつもりなのでしょうか。また、作成するつもりでしたら、数値化する項目の選定を、誰がどのような議論を経て決めているのか、明らかにしてください。

5.貴委員会では、「教科用図書選定資料」を作成する際、現場教員の意見はどのように反映させることになっていますか。現場教員の関わり方を具体的に教えてください。

6.今年度の中学校採択に関して、府・市議会の議員や団体、個人からどのような内容の要望が届いているでしょうか。

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