大阪市会9.8意見書への抗議声明に団体賛同を

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークの呼びかけです。締切が18日(木)20時と、期間が短くて申し訳ありませんが、所属しておられる団体にご紹介の上、団体賛同をしてくださるよう、どうかよろしくお願いします。(今回は団体の賛同のみです。)
また、関西近辺の方は、19日(金)16:30~18:00大阪市庁舎前での
抗議声明提出行動にぜひご参加ください。

***団体賛同のお願い 《転送・拡散 大歓迎》***

みなさま
9月9日、大阪市会において、維新の会、自民党両党提出による「『慰安婦問題』に関する適切な対応を求める意見書」が、賛成多数により可決されました。その内容は、2010年10月、市民の粘り強い働きかけで実現した「日本軍『慰安婦』問題の早期解決に関する意見書」を真っ向から否定し、朝日新聞の検証記事を根拠に、「慰安婦」問題は「事実にもとづかない虚偽」であったと断定する、とんでもない内容です。橋下市長の足元の議会で起こったこのような暴挙を、黙って見過ごすことはできません。

また、今後このような意見書が各地にも飛び火する可能性も否定できず、しっかりと市民の声をあげていく必要があります。

私たちは多数のみなさんの賛同を添えて、早急に、以下の抗議声明を大阪市会に出すことにしました。

今回は団体の賛同のみです。

団体賛同の連絡 :  info@ianfu-kansai-net.org

団体賛同の締切 : 9月18日(木)20時

大阪市会への提出行動を、9月19日(金)に行いますので、ご参加ください。
  16:30  大阪市庁舎前集合、抗議行動
  17:00~17:30  声明提出 (その間も、抗議行動を継続)
  17:30~18:00 提出行動の報告

賛同と併せて、各団体からも大阪市会に対して抗議の声を集中していただきますよう、お願いいたします。

みなさん、力を合わせましょう。

2014年9月14日          
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク 
           (HP:http://www.ianfu-kansai-net.org/index.html

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
声明   

大阪市会の「慰安婦」問題を否定し、被害者を貶める意見書に抗議します。

 9月9日、大阪市会において維新の会と自民党の共同提案による「慰安婦問題に関する適切な対応を求める意見書」が賛成多数で可決されました。意見書は、8月に掲載された朝日新聞の検証記事をもとに、「事実に基づかない虚偽を繰り返し喧伝し、戦地に赴いた兵士や戦歿者の名誉と尊厳を厳しく毀損し、日韓関係を悪化させた」と断定しています。
 朝日新聞の検証記事は、「慰安婦」問題が取り上げられた初期の一時期において事実と異なる証言の引用や名称の混同があったことなどを認めたものです。そもそも吉田清治証言は根拠のあいまいさが早くから指摘されており、今ではこれを資料として「慰安婦」問題が論じられることはありません。吉田証言に頼らなくても、新たな資料や証言は多数発見されており、したがって、吉田証言が事実でないことをもって「『慰安婦』は虚偽」とすることなど不可能です。「『慰安婦』は虚偽」という指摘は当たりません。「河野談話」発表時の政府調査はもちろん、それ以降でも現在までに529点の資料が発見され、今年6月2日、被害者と市民団体の手で内閣府に提出されています。そして何より、「慰安婦」問題の実態が明らかになったのは、アジア・太平洋各国やオランダの被害者が勇気を振り絞って次々と名のり出て証言したことによります。それらの被害事実は日本の裁判
所でも事実認定されています。
 しかし、「慰安婦」問題そのものを否定したい人々は今回の検証記事をそのチャンスととらえ、「慰安婦は嘘だった」発言や報道を一斉に繰り広げています。その筆頭である橋下大阪市長は記者会見やメディアを通じて鬼の首を取ったとばかりにはしゃぎ、「朝日が白旗あげた」「強制連行はなかった」「朝日が日韓関係をこじらせた」等の発言を繰り返しました。
 このたびの意見書には「不当に貶められた先人の名誉を回復し、現在及び未来を生きる日本人の誇りを守るため、世界の平和と繁栄に寄与してきた戦後日本のたゆまぬ努力や女性をはじめとする人権を重んじる姿勢を内外に発信するべく」日本政府が行動するよう求めています。では、日本人の名誉や誇りを傷つけている原因は、朝日新聞報道にあるのでしょうか。周知のように日本軍「慰安婦」問題は昨年に続き、今年も国連自由権規約委員会や人種差別撤廃委員会で取り上げられ、日本政府に対応を求める厳しい勧告が出されるなど、国際社会が注目する女性への性暴力問題です。ピレイ国連高等弁務官が発言しているように、「慰安婦」問題は過去に起きた女性に対す人権侵害であるが、今も日本政府がこの歴史的事実を否定することで被害者の人権を傷つけ続けているという現在の問題だと、国際社会は見ているのです。国際社会の声に耳を傾けようとせず否定し続け、それが女性の人権を軽んじていることだと理解できない日本政府の対応こそが、日本の名誉を傷つけているのです。
 日本政府が今しなければならないことは、朝日新聞の検証記事を云々することではなく、目の前に提出されている多くの「慰安婦」問題関係資料を検証し、実態調査を含めた真相究明を行うことです。
 大阪市会はかつて2010年に市民の要望を受けて「日本軍『慰安婦』問題の早期解決に関する意見書」を可決しています。被害者の声に耳を傾け、女性の人権を尊重する立場から出されたこの意見書を真っ向から否定するこの度の意見書可決は、市長が替わったとは言え、同じ自治体が行ったとは思えない無責任な行為であり、その内容は被害者の尊厳を傷つける「ヘイト・スピーチ」そのものです。
 意見書はまた、来年の戦後70年を期して(河野談話に変わる)新たな官房長官談話を出すよう進言しています。朝日新聞報道が日韓関係をこじらせたと非難するのなら、近隣諸国と平和で友好的な関係を築くことを模索することこそが、地方議会とは言え、この社会に、人々の暮らしに責任を持つ議員としてなすべきことではないでしょうか。
 国家や兵士たちの名誉を守るために事実を否定し、間違った歴史を子どもたちに押し付け、国連勧告をはじめ国際社会の声に背を向ける日本政府や、それに追従する地方議会の態度こそが日本の名誉を傷つけ、子どもたちの未来をも曇らせていることに一日も早く気付いてください。

2014年9月19日

日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
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東大阪市教委に対する抗議文

「育鵬社」版公民教科書の採択に強く抗議し、即刻再審議することを要求する!

子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

 東阪市教育委員会は、26日、教育委員会議において4対1の多数決で「育鵬社」版公民教科書を採択した。公立校での「育鵬社」版教科書の採択は、栃木県大田原市に続いて2例目であり、大阪府内では初めてのことである。私たちは、東大阪市教委の暴挙に対して満身の怒りを込めて抗議するとともに、即刻再審議することを要求する。

① 「育鵬社」版公民教科書は、日本国憲法を歪曲し改憲へと誘導する「違憲教科書」である。「育鵬社」版公民教科書は、大日本帝国憲法下において、天皇が直接政治を行ったわけではないとしたうえで、「日本国憲法は天皇の位置づけを、大日本帝国憲法での統治権の総覧者から、日本国及び日本国民統合の象徴へと、とらえ直しました」と記し、あたかも大日本帝国憲法と日本国憲法下で天皇の地位が変わることなく続いているかのような記述をしている。また、基本的人権についても見開き2ページの説明の中で、人権についての条文だけ列挙し、その一方で公共の福祉による人権の制限と国民の義務について詳しく記述している。基本的人権について人間の尊厳に由来する普遍的な権利であることをゆがめているのである。さらに平和主義の項には兵器の写真が満載で、対立は結局「力」で解決するしかないと教えている。このような記述の教科書では、子どもたちに誤った憲法観を植え付けるだけでなく、東大阪市教委が重点目標に掲げる「人間尊重に徹した人権教育の実践」はとうてい実現できない。

② 「育鵬社」版公民教科書は、他社と比べても原発推進の立場を強く押し出している。東日本大震災による福島原発の放射能汚染被害は、とどまるところを知らない。しかし、原子力「安全神話」が問い直されているまさにその時に、育鵬社公民教科書はあえて原子力発電所の建設を「国策」として子どもたちに押しつけている。「市に原子力発電所の開発計画がもち上がった! 国家規模の政策については、どのように考えればよいのでしょう」と子どもたちに問いかけ、「国策」は受け入れるべきものであり、結局「市民と原子力発電との共存」しかないと教えているのだ。放射能の被害を特に大きく受けるのは子どもたちである。その子どもたちの教育にもっとも責任を負うべき貴教育委員会が、このような教科書を採択するようなことなどあってはならない。

③ 「育鵬社」版公民教科書は、コリアタウンの写真を載せるなど、一見「多文化共生」を尊重しているかのように見せかけているが、その実、国家主義に貫かれており、事実上、「共生」を否定している。
「育鵬社」版公民教科書では「外国人参政権」を否定的に扱っている。EU諸国はEU市民であれば、地方参政権を与えている。例えばフランスはフランス国民でなければ、地方参政権が与えられないということではない。EUはそもそも国家という狭い枠組みを取り払い、政治・経済の統合をはかるという目的で結成された新しい共同体だからである。にもかかわらず、「育鵬社」版公民教科書では、EUを一つの国家であるかのように扱い、地方参政権を与えないのが世界の主流であるかのような記述をして、EUについてまったく誤った認識を子どもたちに与えている。
 「育鵬社」版公民教科書では「国旗」に忠誠を誓い、「国歌」を歌うのがあたりまえだと教えている。しかし、東大阪市もそうであるように、さまざまの国の人々がともに暮らす地域で、「国旗・国歌」を強制することは子どもたちに苦痛を与えるものでしかなく、まったく教育的ではない。
また、「育鵬社」版公民教科書は、領土について歴史的背景を無視して外務省見解を掲載し、相手国との対立を煽っている。たとえば、「竹島(韓国名・独島)」は、1905年に日露戦争の過程で軍事的必要性から一方的に島根県に編入したものであり、韓国併合のさきがけとなった侵略的行為である。にもかかわらず、「日本固有の領土」とか「韓国が不法占拠」などと教えることは、子どもたちに友好国への反感を煽ることにしかならず、百害あって一利なしである。

④ 「育鵬社」版公民教科書の表紙には日本列島の写真が掲載されているが、沖縄が割愛されている。北方領土は明確に写しだされているにも関わらず、沖縄がないことに、当該の沖縄県民は激しく抗議している。育鵬社は歴史教科書でも、沖縄戦への日本軍の関与にふれておらず、沖縄軽視の姿勢は明らかである。東大阪には歴史的に沖縄から移住者が多く、沖縄の歴史や文化をいまでも大切にされている。「育鵬社」版公民教科書は、そのような東大阪市の教育にふさわしくないことは明らかである。

旭川学力テスト最高裁判決(1976年5月21日)では、大綱的な内容に限って教育内容を政府が最低限の基準を決める権限を持つことを認める代わりに、行過ぎた権限行使をしてはならないとの念押しをした。さらに「例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつけるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法36条、13条の規定上からも許されない」と指摘している。これまで述べてきたように「育鵬社」版公民教科書は、旭川学テ判決が禁止する「誤った知識や一方的な観念を子どもに植えつける」内容で違憲の疑いが濃厚であり、それを採択した貴教育委員会は、このままでは法的責任を問われることになるだろう。
 貴教育委員会は、良識にもとづき、この違憲な「育鵬社」版公民教科書の採択を取り消し、再審議を行うことを要求する。東大阪市には韓国・朝鮮にルーツを持つ子どもたちが多数公立学校に通っており、在日外国人教育や国際理解教育が活発に行われている。東大阪市の地域性を考えた教科書採択のやり直しを求める。

以上

歴史関係4団体の緊急アピール

緊急アピール:育鵬社版・自由社版教科書は子どもたちに渡せない

 本年は中学校教科書の採択がおこなわれます。かつての「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)の流れをくむ運動は、この採択の機会を最重要視しており、育鵬社版・自由社版の二種のうち、いずれかの教科書が採択されることを目標に、日本会議をはじめとする諸団体は全国的に活動を展開しています。
両社版とも既に市販本が売り出されており、この運動の成果を公衆にアピールしている一方で、これら教科書を編集した人たち自身が、他社から発行される教科書を「自虐史観」や「東京裁判史観」にもとづくものであると指弾して、繰り返し誹謗や攻撃をおこなっています。
 私たちは、育鵬社版と自由社版の教科書の、いずれもが子どもたちに渡されないように、これら教科書の採択に反対するものです。「つくる会」の手による「新しい歴史教科書」(2001年以降、扶桑社版)は、全般的に基本的な誤りや不正確な部分が多くあり、歴史研究の成果を踏まえない記述に満ちた粗悪なもので、社会的にもたいへん問題になったのは、記憶に新しいところです。非常に多くの間違いや不適切な記述が訂正されないままに、「つくる会」教科書が教育現場に導入されてしまい、このような欠陥教科書を使わされた中学生や教員等が甚大な被害を受けたことは、職能としての歴史研究を重視する諸団体にとっても、痛恨のきわみであったと言わざるを得ません。歴史研究と歴史教育とのあいだで、たいへん大きな問題を抱えこむことになってしまいました。
 育鵬社版・自由社版の教科書は、実質的にこの扶桑社版の後継にあたります。2006年に、「つくる会」は内部抗争を起こして二派に分裂しました。版元の扶桑社が「つくる会」と絶縁したため、2010年度からは、版元を自由社に移して「つくる会」教科書(自由社版歴史教科書)が刊行されています。一方、分裂したグループは「日本教育再生機構」や「教科書改善の会」を結成し、こちらの方は、扶桑社の子会社として設立された育鵬社から、教科書を発行しています。運動の分裂は、結局類似した内容をもつ二種類の教科書の発行をもたらすことになりました。
 扶桑社版と同様に、育鵬社版・自由社版の双方に、重大な問題点があるのを見過ごすことはできません。両社版とも本年の検定に合格しましたが、付けられた検定意見の数がきわだって多いのが注目されます。育鵬社版が150件に自由社版が237件と、歴史教科書全体での平均件数116をいずれも上回っています。さらに両方も、誤記などの理由で多数の訂正申請を文部科学省におこなっており、さらにこの訂正以後もなお史実誤認や間違いが多く残ってしまうという有りさまです。そもそも歴史研究の成果を教科書叙述に反映する姿勢があるのかさえ、疑問です。
 さらに、次のような問題点も、解消されないままに存在しています。
・全体に民衆のとらえ方が一面的な記述になっています。国家の指導者やいわゆる「偉人」の業績は特筆されていますが、文化や生活の項目以外には民衆の主体的・能動的な姿がほとんど登場しません。
・一方で、取り上げられる有名人物の数だけはこれまでに無いほど多く(育鵬社540名、自由社391名)、学習を困難にしています。この人名数をもって、両社とも学習指導要領に忠実な編集と自負していますが、果たして中学校教科書として取り上げるのに適切な分量といえるのでしょうか。偉人伝を取り上げることによる効果として、改定教育基本法を強く意識しての徳目の教えこみが目指されたもの、と評価できます。
・架空の「神武天皇」について「初代天皇」と記すなど、神話や物語と歴史との関係を誤解させやすい内容です。神話重視、「天皇」重視の記述と、縄文・弥生時代についてさえ一貫して使われている「わが国」といった表現とが相まって、国家形成や支配体制の成立といった問題がまったく不明瞭にさせられています。日本列島地域の歴史は、つねに国家と一体のものであった、という評価を教えこむことがめざされています。
・植民地支配の問題をほとんど書いていません。近隣諸国の脅威、危機感が詳述される一方で、日本による植民地化に至る事実過程は認識しがたい内容になって
います。植民地における近代化の功績ばかりを特筆し、支配下にある多くの人びとの苦難については、何らふれるところがありません。アジア諸地域の人びととの相互理解を妨げる、ひたすら内向きの教科書叙述と言わざるをえません。
・近代の戦争についても、侵略や加害の事実を充分理解できるようには記さず、日本国家の正当化に終始する自国中心の記述にとどまっています。育鵬社版・自由社版ともに、日露戦争が諸民族に独立の希望を与えたことを述べ、さらに「大東亜戦争」の時期の「大東亜共栄圏」を特記し、アジアの解放独立を謳ったことに紙数を費やしています。その一方で、アジア太平洋戦争での惨禍については、日本人がわの被害・犠牲についてのみ記し、アジア諸民族の被害については全く無視しています。
・平和教育を敵視し、現代世界における戦争の違法化の動向については重視せず、日本国憲法に規定された戦後日本の体制を変えることを目的とする教科書となっ
ています。育鵬社版は「日本国憲法の最大の特色」として「他国に例を見ない徹底した戦争放棄(平和主義)の考え」としています。自由社版も「世界で例を見ないもの」としており、憲法9条の規定をまったく異例な性格のものと位置づけることに主眼があるようです。9条改憲を射程に入れた、そして日本国憲法を遵守するどころかこれに敵対しようとする、政治的性格をもつ教科書、といえるでしょう。

 10年前に、扶桑社版教科書が登場したときに出された、「緊急アピール」では、次のように述べられていました。「私たちは、今日の学校教育における歴史の叙述は、諸国民、諸民族の共生をめざすものであるべきで、自国中心的な世界像を描くことや、他国を誹謗することは許されないと思います。『新しい歴史教科書』が教育の場にもちこまれることによって、共生の未来を築くために必要な、生徒の歴史認識や国際認識の形成が阻害されることを憂慮するものです」。今なお、あらためてこう言わなければなりません。育鵬社版と自由社版の教科書を教育の場にもちこんではならない、と。よって、私たちは、これらの教科書が採択されることに強く反対するものです。

   2011年7月22日

                   歴史学研究会
                   日本史研究会
                   一般財団法人歴史科学協議会
                   一般社団法人歴史教育者協議会

【沖縄】中学校社会科教科書採択に関する緊急アピール

中学校社会科教科書採択に関する緊急アピール

今年度は、2012年4月より中学校において使用される教科書の採択の年となっており現在全国各地で教科書採択がすすめられています。沖縄県の公立中学校では那覇、島尻、中頭、国頭、宮古、八重山の各地区において中学校用教科書の選定、採択が行われています。私たちは次の点から教科書採択についても注視してきました。

第一に、今回採択される教科書は、「改定」教育基本法、新学習指導要領下で初めて全面改訂されたものです。しかも、2007年教科書検定問題以後、私たち沖縄県民が「沖縄戦の真実を教科書に」と求め続けてきた中で執筆・編集され、検定を経た中学校社会科教科書がはじめて採択にかけられるからです。検定意見撤回運動を求める取り組みにおいては、強制集団死(「集団自決」)の実相が問われただけでなく、「沖縄戦とは何だったのか」「教科書にはどう書くべきか」も議論されてきました。高校日本史教科書検定の理由の一つとされた「大江岩波沖縄戦裁判」は4月21日に上告棄却となり大江氏と岩波書店の勝訴が確定しました。沖縄で採択され沖縄の子どもたちが学ぶ教科書には、これら沖縄戦研究そして検定意見撤回運動、裁判の中で出された新しい証言等が反映されたものがふさわしいと考えますし、もちろん全国の子どもたちについても同様です。それがあの時に県内全市町村・県議会で採択された決議、そして何より県民大会決議の重みであると考えます。

第二に、3月末に公表された今回の検定結果には少なからず衝撃を受けました。それは、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、つくる会)及びそこから分裂した「日本教育再生機構」「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」(以下教科書改善の会)から2種類の教科書が検定に合格したことです。つくる会は自由社から、教科書改善の会は育鵬社から教科書を発行しました。これらの教科書では、第一で指摘した沖縄戦の実相についてほとんど記述されず、育鵬社については「米軍の猛攻で逃げ場を失い、集団自決する人もいました」と、米軍によって集団自決に追い込まれたとする一面的で沖縄戦の実相を反映していない記述となっています。また、つくる会のメンバーは「大江岩波沖縄戦裁判」においても原告の支援を積極的に行うだけでなく、さまざまな雑誌でキャンペーンを行うなど、積極的に沖縄戦のわい曲をすすめてきました。彼らは、韓国併合=植民地支配は日本の誇りであり謝罪する必要はない、韓国は感謝すべきであり、非難・抗議するのはとんでもないと述べています。また、南京大虐殺事件や日本軍「慰安婦」の歴史事実を否定、国際関係は軍事力・経済力で競争する場、紛争は理性的な話し合いでは解決しない、軍事力・戦争で解決するのが当然と主張してきました。私たちはこのような考え方のもとでつくられた教科書では、歴史の真実を学ぶことはおろか、新教育基本法にもある「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」ことはできないと考えます。そのうえ、これらの教科書は検定を通ったにもかかわらず、今もなお数多くの誤りが残っていると指摘されています。市民グループの調査では、自由社において数十箇所の誤りが指摘され、教科書にある年表は他社の盗用であることが発覚しました。代表執筆者である藤岡信勝氏もこの誤りを認めています。育鵬社についても、琉球王国時代の地図に関する盗用が指摘されています。このように、歴史観だけでなく数多くの事実の間違いがある教科書はとても子どもたちに渡す事はできません。このような教科書が検定に合格していること自体が教科書検定の公平性・公正さを疑わざるを得ませんし、合格ありきで検定したと疑われてもしょうがない状態です。

このような教科書が存在する中、意図的にこれらの教科書を採択する動きが全国で行われています。地方議会において、「教育基本法や学習指導要領の改正の趣旨に最もふさわしい教科書の採択」を求める請願を採択するなどしています。また、彼らの教科書と運動を支持する首長に取り入り、その首長が任命した教育委員の過半数を獲得して、教育委員の(無記名)投票によって採択を獲得するというやり方も行われきました。このような中、栃木県大田原市教育委員会は育鵬社を採択しました。また同じく栃木県下野市では、前回から規約が変わり教育委員会が選定委員会の判断と無関係に最終決定できるように、教科書採択方法が改定されました。こうした「教育委員会の権限と責任において採択する」ことは、つくる会・教科書改善の会のホームページや会報などですすめられている方向性そのものです。文科省は「教科書の採択について」の通知においても「十分な調査・研究」をうたっています。教科書を使うのは子どもたちです。そして教科書で教えるのは現場の教師です。教師が子どもの実情に基づいて、授業の方法や教材の工夫などからもっとも子どもたちの学びのサポートとなる教材を選ぶ作業が教科書選定であるべきです。現場の意見を踏まえず採択委員会の価値判断で教科書を選定することは、1997年3月28日「規制緩和推進計画の再改訂について(閣議決定)」の中で、教科書の採択制度について「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があるとの観点に立ち、当面の措置として、
教科書採択の調査研究により多くの教員の意向が反映されるよう、現行の採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善についての都道府県の取り組みを促す。」ことが明記されています。

このような中、新聞報道によれば、八重山採択地区協議会の規約改定、総会を経ない調査員の委嘱、また、現場の声を反映するために行われていた調査員による順位付けを廃止することなどの動きがあるとしています。改定された規約の第8条の4には、「調査員は、沖縄県教育委員会による指導・助言・援助の一環として作成された教科用図書選定資料をもとに、教科書の調査研究を行い、教育法規、学習指導要領、採択地区の教育方針、沖縄県及び採択地域に関連する教材などの視点から、県の選定資料に付記する形で追加文書等を作成し、調査研究の結果を報告する」とあり、教員の授業や子どもの実情などを十分反映されるものとは言い難い改定となっています。また、第9条の2には、「協議会は、教科ごとに調査員の出席を求め、県の選定資料(及び追加文書等)に基づいて、全社の教科用図書の特徴についての説明を受ける」となっており、教師の調査研究の結果が選定の重要な基準とはなっていません。このような規約の改定は、教科書採択の重要な手続きを軽視し、文科省のいう「適正かつ公正な採択」にならない危険性があります。教科書はさまざまな編集者によって教材としての提示方法や単元構成など、さまざまな特徴があります。これらは、個別の事象や人物名、地名などの問題ではなく、単元全体を通じて目標が達成できるのかなど、日常的に活用している教師だからこそ研究し指摘できることも多くあります。また、自由社や育鵬社にあるような事実の誤りなども日常的に使っているからこそできる指摘です。
私たちは、教師が子どもに豊かな学びを保障し、子どもたちに「わかる授業」を教師が構築するためにも現場教員の声をしっかり反映し、その判断を尊重した教科書採択が重要であると考えます。
私たちは、沖縄に住む子どもたちに正しく沖縄の歴史を伝えることのできる教科書を採択すべきであると考えます。沖縄戦の実相が具体的に学べる教科書採択が、県民の願いであると確信します。

上記のことを踏まえ、以下の点を要望します。
沖縄県教育委員会、各採択地区協議会、市町村教育委員会に、より多くの教員の意見、調査研究を反映した「適正かつ公正な採択」がなされるよう求めます。
教科書採択にあたっては、これまでの県民大会決議、市町村議会決議で示された「沖縄戦の真実を歪めてはならない」「沖縄戦の真実を教科書に」という県民の願いを大事にし、選定をすすめることを求めます。

2011年7月20日
沖縄戦の歴史わい曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会

自由法曹団の「つくる会」系公民教科書批判の意見書

自由法曹団の「法律家による『つくる会』系公民教科書(育鵬社・自由社)の検証」という意見書です。

 ↓

http://www.jlaf.jp/html/menu2/2011/20110613130341.html

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